弁護士べんり
事件記録 スポーツ法務 2022年 移籍完了

ブラジル人選手のJリーグクラブへの移籍交渉

ブラジルクラブ所属・20代前半 ・ J1クラブへの移籍及び飛躍仲介人(JFA登録)として受任

宮地 祐樹

この記録を残した弁護士

宮地 祐樹 第62期

みやち総合法律事務所 ・ 千葉県弁護士会

背景 — ご相談の経緯

ブラジル人選手がJリーグへの移籍を希望しているものの、従前の仲介人(JFA登録)が全く動いてくれないとの相談を受け、私がブラジル人選手の代理人になることになりました。 よくよく見ると、ブラジル人選手の仲介人(JFA登録)と称していた方はブラジル人選手ではなく、ある特定のJリーグクラブの仲介人(JFA登録)で、その旨の内容の仲介人契約書が日本語で締結されていました。 そのため、同仲介人(JFA登録)は、ある特定のJリーグクラブのためにしか活動しておらず、ブラジル人選手のためには活動していませんでした。 しかし、所属クラブと結んでいた契約には、移籍金の算定基準や移籍の可否に関する条項が曖昧なまま残されていた。クラブ側は主力の流出に難色を示し、交渉は容易ではない。しかも移籍市場(ウィンドウ)が閉じるまで残された時間はわずか。条件面だけでなく、「移籍後に確実に試合へ出られるのか」という選手本人の不安にも応える必要があった。

弁護士の仕事 — 争点と対応

争点は三つ。第一に、曖昧な移籍金条項をどう解釈し、所属クラブとの間で妥当な金額に落とし込むか。第二に、移籍先クラブとの間で出場機会をどう担保するか。第三に、将来さらに移籍する際に育成クラブへ還元される連帯貢献金(ソリダリティ・メカニズム)や再売却時の取り分をどう設計するか。いずれも、FIFAの選手移籍規則(RSTP)とJFAの仲介人規程を踏まえた検討が欠かせなかった。

そのため、ブラジル人選手の仲介人(JFA登録)になった私は、ブラジル人選手のプロフィールやプレー映像集を持って各Jリーグクラブを回りブラジル人選手を売り込みました。 この際には、各Jリーグクラブの試合映像をチェックし、同ブラジル人選手がいればプレーが良い方向に向かうと思われるJリーグクラブをピックアップし、それらのJリーグクラブに対して強く獲得を求め交渉しました。

誰のために動くのかを明確にして全力で交渉する。

結果と意義

その結果、移籍市場が閉じる直前に合意に至り、ブラジル人選手は当時J1リーグのクラブに獲得してもらうことが決まり、無事に移籍が完了しました。 なお、その際には、ゴール給(得点を決めると貰えるボーナス)、アシスト給(アシストを決めると貰えるボーナス)、移籍金条項(他クラブに移籍するために必要とする移籍金を定める条項)を明記し、翌年には移籍金条項により、より規模の大きいJ1クラブに移籍することができました。

参照した規程・法令

  • FIFA 選手の地位及び移籍に関する規則(RSTP)

    移籍金・連帯貢献金(ソリダリティ・メカニズム)・育成補償の枠組み

  • JFA 仲介人に関する規則

    仲介人としての利益相反の回避と、報酬の適正性の確認

本記録は終結した事案を、当事者が特定されない形で記したものです。結果は事案ごとに異なり、同様の結果を保証するものではありません。

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